癇癪が多い子への関わり方|叱る前にできる工夫
2026/6/14
はじめに
「思い通りにならないと大きな声で泣く」
「遊びをやめる時間になると怒ってしまう」
「床に寝転がって動かなくなる」
「気持ちが切り替わるまで時間がかかる」
このような癇癪に悩む保護者さまは多いと思います。
癇癪が続くと、保護者さまも疲れてしまいます。
外出先で起きると周りの目が気になったり、家でも毎日のように対応が続くと「どうしたらいいの?」と不安になったりすることもあります。
でも、癇癪は単なるわがままではなく、子どもがうまく気持ちを伝えられないときのサインであることがあります。
大切なのは、癇癪を無理に止めようとすることだけではなく、
なぜ癇癪が起きているのか
どうすれば落ち着きやすくなるのか
を一緒に考えていくことです。
癇癪とは?
癇癪とは、子どもが強い怒りや不安、悲しさ、悔しさなどをうまく整理できず、泣く・怒る・叫ぶ・物を投げる・寝転がるなどの行動として表れる状態です。
小さなお子さまは、まだ自分の気持ちを言葉で説明する力が育っている途中です。
そのため、
「嫌だった」
「もっとやりたかった」
「怖かった」
「疲れた」
「どうしたらいいかわからない」
という気持ちを、言葉ではなく行動で表していることがあります。
癇癪があるからといって、すぐに問題というわけではありません。
ただし、頻度が多い、長時間続く、園や家庭生活で大きく困っている場合は、お子さまに合ったサポートを考えてみることが大切です。
癇癪が起きやすい場面
癇癪は、特定の場面で起きやすいことがあります。
たとえば、
好きな遊びを終わるとき
おもちゃを取られたとき
順番を待たないといけないとき
思い通りにできなかったとき
予定が変わったとき
初めての場所に行くとき
疲れているとき
お腹が空いているとき
音や人の多さで刺激が強いとき
言いたいことが伝わらないとき
このように、癇癪にはきっかけがあります。
同じような場面で繰り返し起きる場合は、事前の声かけや環境の工夫で、少しずつ癇癪を減らせることがあります。
癇癪の背景にあること
癇癪が多いお子さまには、いくつかの背景があることがあります。
1. 気持ちを言葉で伝えるのが難しい
「嫌だ」
「まだやりたい」
「貸してほしい」
「うまくできなくて悔しい」
このような気持ちを言葉にするのが難しいと、泣く・怒る・叫ぶといった行動で表現することがあります。
この場合は、癇癪のあとに叱るだけではなく、
「もっとやりたかったね」
「悔しかったね」
「嫌だったんだね」
と、気持ちを言葉にしてあげることが大切です。
2. 見通しが持ちにくい
次に何をするのか、いつ終わるのかが分からないと、不安になりやすいお子さまもいます。
たとえば、楽しく遊んでいる途中で急に
「もう終わり」
「帰るよ」
と言われると、気持ちの準備ができずに癇癪につながることがあります。
そのような場合は、
「あと3回やったら終わり」
「タイマーが鳴ったらおしまい」
「終わったら車に乗るよ」
のように、見通しを伝えることが大切です。
3. 感覚の刺激が強すぎる・足りない
音、人の多さ、明るさ、服の感触、においなど、周りの刺激に敏感なお子さまもいます。
反対に、体を動かしたい、強い刺激がほしいというお子さまもいます。
刺激が強すぎたり、体を動かしたい気持ちが満たされていなかったりすると、気持ちが不安定になり、癇癪につながることがあります。
PAL PICNICでは、感覚統合の考え方をベースに、体を使った遊びを通して気持ちが整いやすい状態をつくることを大切にしています。
4. 疲れや空腹が重なっている
大人でも、疲れているときやお腹が空いているときはイライラしやすくなります。
子どもも同じです。
眠い、疲れた、お腹が空いた、暑い、寒いなど、体の状態が整っていないと、ちょっとしたことで癇癪につながりやすくなります。
癇癪が多いときは、生活リズムや疲れやすい時間帯も一緒に見ていくとよいでしょう。
癇癪が起きたときの関わり方
癇癪が起きている最中は、子ども自身も気持ちが大きくなりすぎて、うまくコントロールできない状態です。
そのため、長く説明したり、強く叱ったりしても、言葉が入りにくいことがあります。
1. まず安全を確保する
物を投げる、頭をぶつける、道路に飛び出しそうになるなど、安全面で心配がある場合は、まず安全を守ることが最優先です。
危ないものを遠ざける、静かな場所へ移動する、体をぶつけないようにするなど、環境を整えます。
このとき、大人もできるだけ落ち着いた声で関わることが大切です。
2. 癇癪の最中は短い言葉で伝える
気持ちが大きくなっているときは、長い説明は入りにくいです。
「ダメでしょ、何回言ったらわかるの」
「そんなに泣いても意味ないよ」
と伝えても、余計に気持ちが高ぶってしまうことがあります。
癇癪の最中は、
「ここで待つよ」
「危ないから止まるよ」
「一緒に座ろう」
「大丈夫、そばにいるよ」
のように、短く、落ち着いた言葉で伝えます。
3. 気持ちを受け止める
癇癪の行動そのものをすべて許す必要はありません。
ただし、気持ちは受け止めてあげることが大切です。
「もっと遊びたかったね」
「悔しかったね」
「嫌だったね」
「びっくりしたね」
このように気持ちを言葉にしてもらうことで、子どもは少しずつ自分の感情に気づきやすくなります。
「泣いちゃダメ」ではなく、
「嫌だったんだね。でも叩くのはしないよ」
というように、気持ちと行動を分けて伝えるとよいです。
4. 落ち着いてから振り返る
癇癪の最中に正しい行動を教えようとしても、なかなか入りにくいことがあります。
伝えるのは、少し落ち着いてからで大丈夫です。
たとえば、
「さっきはもっと遊びたかったんだね」
「次は“まだやりたい”って言ってみようね」
「終わる前にあと3回って決めようね」
このように、次にどうしたらよいかを短く伝えます。
大切なのは、責めることではなく、次につながる方法を一緒に確認することです。
癇癪を減らすために家庭でできる工夫
癇癪が起きた後の対応も大切ですが、起きる前の工夫もとても大切です。
1. 予定を先に伝える
見通しがあると、子どもは安心しやすくなります。
たとえば、
「ごはんを食べたらお風呂」
「公園で遊んだらスーパーに行くよ」
「あと3回すべったら帰ろうね」
のように、先に流れを伝えておきます。
言葉だけで難しい場合は、写真や絵、タイマーを使うのもおすすめです。
2. 終わりを急に伝えない
楽しい遊びを急に終わらせると、癇癪につながりやすくなります。
「もう終わり!」ではなく、
「あと5分で終わり」
「あと3回でおしまい」
「タイマーが鳴ったら終わり」
と、終わりを予告しましょう。
終わりが見えることで、気持ちの準備がしやすくなります。
3. 選択肢を用意する
子どもは、自分で選べると気持ちが落ち着きやすいことがあります。
たとえば、
「赤い靴と青い靴、どっちにする?」
「お風呂に入る前に、絵本とブロックどっちを片づける?」
「歩いて行く?抱っこで行く?」
選択肢は多すぎると迷いやすいので、2つくらいにすると分かりやすいです。
4. できた行動をほめる
癇癪が多いお子さまは、注意される経験が増えやすいです。
だからこそ、できた行動を見つけて伝えることが大切です。
「待てたね」
「自分で言えたね」
「終われたね」
「泣いたけど戻ってこられたね」
「叩かずに教えてくれたね」
小さな成功を積み重ねることで、次の行動につながりやすくなります。
5. 落ち着く方法を一緒に見つける
お子さまによって、落ち着きやすい方法は違います。
たとえば、
静かな場所に行く
水を飲む
深呼吸をする
クッションを抱く
ぎゅっと抱きしめてもらう
少し体を動かす
お気に入りの物を見る
タイマーを見る
などがあります。
「この子は何をすると落ち着きやすいかな?」と観察しながら、その子に合った方法を見つけていくことが大切です。
外出先で癇癪が起きたとき
外出先で癇癪が起きると、保護者さまはとても焦ってしまうと思います。
周りの目も気になり、早く泣き止ませようとしてしまうこともあります。
外出先では、まず安全な場所に移動し、刺激を減らしましょう。
人が多い場所、音が大きい場所、明るすぎる場所では、気持ちがさらに高ぶることがあります。
落ち着くまでは長く説明せず、
「大丈夫」
「ここで待つよ」
「落ち着いたら行こうね」
と短く伝えます。
外出前には、
「今日はスーパーに行って、牛乳を買ったら帰るよ」
「お菓子は1つ選ぼうね」
「終わったら車に戻るよ」
など、先に予定を伝えておくと安心しやすくなります。
療育でできること
療育では、癇癪を「困った行動」として見るだけでなく、その背景を丁寧に見ていきます。
PAL PICNICでは、感覚統合をベースにした個別療育・小集団療育を通して、お子さまが安心して気持ちを表現し、少しずつ切り替えられるよう支援しています。
1. 気持ちを言葉にする練習
「いやだった」
「もっとやりたい」
「かして」
「やめて」
など、自分の気持ちを言葉や身振りで伝える練習をしていきます。
言葉で伝えることが難しい場合は、絵カードや選択肢を使うこともあります。
2. 切り替えの練習
好きな活動から次の活動へ移るときに、見通しを持てるように支援します。
「あと3回」
「タイマーが鳴ったら終わり」
「終わったら次はこれ」
というように、終わりと次の活動を分かりやすく伝えます。
3. 体を使って気持ちを整える
トランポリン、サーキット遊び、ジャンボクッション、バランス遊びなど、体を使う活動を通して、気持ちが整いやすい状態をつくります。
体を動かすことで、活動への参加や切り替えがしやすくなるお子さまもいます。
4. 小集団の中で成功体験を積む
少人数の小集団では、順番を待つ、ルールを守る、お友だちと関わるなど、癇癪につながりやすい場面を安心できる環境で練習できます。
先生が間に入りながら、
「待てた」
「言葉で伝えられた」
「切り替えられた」
という経験を少しずつ積み重ねていきます。
保護者さまが一人で抱え込まなくて大丈夫です
癇癪が続くと、保護者さまはとても疲れてしまいます。
「また怒ってしまった」
「どうしてうちの子だけ」
「外出するのが怖い」
と感じることもあるかもしれません。
でも、癇癪は保護者さまのせいではありません。
お子さまの発達段階、気持ちの伝え方、感覚の受け取り方、環境との相性など、さまざまな要因が関係しています。
大切なのは、保護者さまだけで抱え込まず、相談できる場所を持つことです。
まとめ
癇癪が多い子には、気持ちを言葉で伝える難しさ、見通しの持ちにくさ、感覚の刺激、疲れや空腹など、さまざまな背景があることがあります。
癇癪が起きたときは、まず安全を守り、短い言葉で伝え、気持ちを受け止めることが大切です。
そして、落ち着いてから次にどうすればよいかを一緒に確認していきます。
家庭では、
予定を先に伝える
終わりを予告する
選択肢を用意する
できた行動をほめる
落ち着く方法を見つける
といった工夫が役立ちます。
PAL PICNICでは、名古屋市昭和区で児童発達支援・放課後等デイサービスを行っています。
感覚統合をベースにした個別療育・小集団療育を通して、お子さまの「できた!」を大切に育てています。
「癇癪が多くて困っている」
「切り替えが苦手」
「園や家庭で対応に悩んでいる」
という段階でも、見学・ご相談が可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
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